政府機関がオブジェクトストレージに注目する理由
米国GCNマガジンに「Why agencies are turning to object storage(政府機関がオブジェクトストレージに注目する理由)」というタイトルの記事が掲載されています。オブジェクトストレージのメリットがわかりやすく解説されています。日本語版の抄訳で紹介します。
政府機関がオブジェクトストレージに注目する理由
政府機関がデータ(基本的にデジタルドキュメント、写真、ビデオクリップ、またはオーディオファイル)を格納するスペースを見つけるのに苦労しており、オブジェクトストレージに目を向けています。
クラウドプロバイダーが膨大な量の非構造化データを保存する手段として広く普及しているオブジェクトストレージは拡張性があり、物理的な拠点の管理が容易です。オブジェクトストレージはコスト効率にも優れています。しかし、最大の利点は、現代のデータストレージのニーズを満たす能力です。
ガートナーの新興インフラ技術分野のリサーチディレクターであるジュリア・パーマー(Julia Palmer)氏は次のように述べています。「オブジェクトストレージはペタバイト規模の閾値を超えた初めてのストレージです。 オブジェクトストレージはパラダイムを変えました。もはやファイルは存在しません。それらはオブジェクトです。特定のプログラム可能なAPIを使用して読み書きするのです。」
2021年までに、エンタープライズ・データの80%以上は、今日の30%から、エンタープライズおよびクラウド・データ・センターのスケーラブル・ストレージ・システムまたはスケールアウト・ストレージ・システムに格納されると、パーマー氏は2017年の研究論文で述べました。
その利用者には、Enterprise Networking Solutions(ENS)が提供するサービスによりオブジェくストレージを使用するカリフォルニア州のDepartment of Technologyがあります。 「ENSは、全州で発生するストレージ調達の急増に対応するために、CloudianのHyperStoreを採用するオブジェクトストレージをクラウドサービスとして追加しました」とENSの事業開発部長チャド・ホッジ氏は述べています。
米国国立衛生研究所は、データ集約型のアプリケーションにオブジェクトストレージを使用しており、ユタ州のDepartment of Technology Servicesは、「長期間のデータアーカイブ、アプリケーションまたはオーディオ/ビデオ/イメージファイルのようにアクセス頻度が低く、性能を求めない非構造化されたデータ」のためのストレージサービスを州機関に提供しています。
「オブジェクトストレージと従来型ストレージとの違いは、後者は特定の水準までにしか拡張しません」と、スケールアウト型オブジェクトストレージを提供するCloudianのCMOであるJon Toor氏は述べています。彼はそれを貯蔵箱を充たすことに似ていると話しています。「それが一杯になると、新しいものを買わなければなりません。 ストレージデバイスのラックであると考えると、そのラックが一杯になれば、新しいものを購入する必要があります。しかし、Cloudianであれば必要ありません。すでに持っているものに追加し続けるだけです。」
オブジェクトストレージは、政府のユーザーとIT管理者の仕事を容易にします。ユーザーにとっては、無制限でスケーラブルなストレージプールを利用できますが、IT担当者はラックスペースを3分の1に削減できるため、ストレージ関連の作業量を削減できます。
Toor氏によると、従来のストレージの問題は、新しい装置を導入するたびに[IT管理者]の新しいタスクが生じることです。 「彼はこれを更新し、それを更新し、このことについてユーザーとグループを管理しなければなりません。彼にとって新しいプロジェクトです。 問題は、最後に彼はその作業量で一杯一杯になってしまいます」
もう1つのメリットは、オブジェクトストレージが、どのような種類のストレージが特定のワークロードに最適であるかについての会話を促進します。 「格納データの種類と必要なストレージ量とタイミングにとって最適となるよう性能を階層化するために、適切にデータ分類することが強く求められます。」「誤解があるのは、予算の仕組みだから、次の3〜5年間必要となる全てのものを、急いで、買わねばならないということです。」 このような場合、「いいえ、本当の必要性に応じてやりましょう」と言います。
オブジェクトストレージのルーツはクラウドにあり、AmazonのSimple Storage Service APIは「オブジェクトストレージのデファクトスタンダード」だとパーマー氏は述べています。さらに多くのベンダーがオンプレミスソリューションを提供しています。具体的な数字はありませんが、より多くのベンダーが市場に参入しており、オンサイトとクラウドの両方でオブジェクトストレージ導入が増加していると報告しています。
「私たちは、日々膨大に増加する非構造化データを抱えています。この非構造化データは、オブジェクトストレージが何を保存しているかをほぼ示しています。 オブジェクトストレージが対応する非構造化データは、世界で作成されたデータの80%であり、これも構造化データよりもはるかに早く増加しており、私たちが生成してるデータだけで、近い将来、もうひとつの大きな上昇局面があります」と述べています。「オブジェクトストレージは、もっともコストのかからないストレージの選択肢と考えられるため、それが最終的な解決方法になるでしょう。」