オブジェクトストレージ導入、6つのベストプラクティス
CloudianのNeil Stobartの寄稿「The 6 Best Practices for Object Storage Deployment」を日本語の抄訳でご紹介します。
オブジェクトストレージ導入における6つのベストプラクティス
IT管理者は、企業が非構造化データの量を増やすにつれて、新たなストレージ課題に直面しています。高解像度画像、バックアップデータ、IoTで生成された情報のいずれであっても、このデータは検索可能で、瞬時にアクセスして解析とデータマイニングを容易にする必要があります。 ITプロフェッショナルは、オブジェクトストレージを使うことがこれらの課題に対する簡単かつ費用対効果の高い方法であるとの認識を深めています。しかし、オブジェクトストレージは多くのデータセンターでは新しいため、最適な管理方法について質問をいただきます。ここでは、オブジェクトストレージを最大限に活用するのに役立つ6つのベストプラクティスをご紹介したいと思います。
ベストプラクティスNo.1
オブジェクトストレージに適したワークロードを特定
数ペタバイトに拡張可能なオブジェクトストレージは、データ集約型アプリケーションに最適です。高トランザクション・レート(IOPS)ではなく、ストリーミング・スループット(Gb / s)を必要とするアプリケーションにオブジェクトストレージを検討してください。例としては、バックアップ、データアーカイブ、IoT、CCTV、音声録音、ログファイル、メディアファイルなどがあります。 1つの選択肢として、高性能ストレージとオブジェクトストレージを組み合わせ、透過的にデータを移動できる階層型ストレージ基盤が考えられます。
オブジェクトストレージは、大規模なデータセットに対して高い経済性を発揮するため、オンラインで大量に集めて保存したデータをオンデマンドで利用できます。しかし、ストレージは1種類だけではありません。アプリケーションの特徴を考え、オブジェクトストレージが他のストレージのタイプよりも理にかなっているかどうかを判断してください。従来のストレージアレイまたはオールフラッシュシストレージは、高IOPSや低遅延のアプリケーション、および小型のデータセットサイズ(Oracle、SQLデータベース、電子メールサーバー、ESXサーバーファーム、VDIなど)には引き続き有効です。
ベストプラクティスNo.2
1PB障害ドメインに注意
高密度ストレージサーバは、1台のデバイスで1PBに近い容量に対応できるようになりました。そのような高密度のデバイスはコストの観点からは非常に魅力的です。しかし、単一のデバイスでこのようなストレージ量を管理することの意味合いを考えてみてください。データ消失から保護されていても、デバイス障害が発生した場合に長い再構築時間が生じる可能性があります。再構築時間を短縮するためには、大規模なサーバーを複数の独立したノードに論理的に分割する方法があります。また、イレジャーコーディングを使用して、複数のデバイス障害に対して復元力のあるクラスタ構成を構築する方法もあります。そうすれば、リビルド中に2回目の障害が発生した場合でも、データ保護が可能です。
ベストプラクティスNo.3
単一のプラットフォーム上で異なるワークロードを統合するには、QoSとマルチテナントを使用
オブジェクトストレージは、拡張性が優れているため、ユーザーとアプリケーションを単一のシステムに統合することで管理を簡素化できるという利点があります。ただし、その共有環境において、システムは各ユーザーのニーズを満たすサービスレベルを提供する必要があります。それぞれには、ストレージ容量、セキュリティ、予測可能な性能が必要です。このことは、システムが論理的に分離されたストレージドメインとサービス品質制御により構成されていれば実現できます。この組み合わせにより、共有ストレージの2つの主な課題、つまり、厄介な隣人と騒々しい隣人の問題を解決できます。
ベストプラクティスNo.4
ワークフローの自動化を実現するために、アプリケーションにデータ管理を統合することを検討
オブジェクトストレージの最も一般的な「言語」は、S3 API – Amazon Web Services(AWS)のSimple Storage Service APIです。これはアプリケーションのデータ制御方法に革命をもたらしています。その理由は、S3 APIとFC、iSCSI、NFS、SMBなどの従来のデータ管理プロトコルを比較すればわかります。これらのプロトコルは、2つの基本的なコマンド、すなわちデータの読み書きしかサポートしていません。対照的に、S3 APIは、管理、レポート、パブリッククラウドサービスとのシームレスな統合を容易にする400以上の異なる操作をサポートしています。アプリケーションのオーナーは、S3 APIの可能性を理解し、高度なサービス提供のためにアプリ開発者やベンダーと協力してください。
ベストプラクティスNo. 5
メタデータ機能を活用
リッチなメタデータ(またはデータのデータ)は、単に各オブジェクトに関連付けられたユーザーが定義するタグです。しかし、そのタグの意味は深いです。オブジェクトストレージには、メタデータが非常に限られているNAS(ネットワーク接続ストレージ)やSANとは異なり、豊富なメタデータタグ機能が組み込まれています。シンプルですが、これらのタグはデータ管理に大きな影響を与えます。それらはGoogleのようなツールで簡単に検索することができ、データを分析して「この画像の人の名前は何ですか?」といったインサイトを探すアプリケーションを使うことで、時間の経過とともに変更することができます。データに永続的に埋め込まれているタグであれば、どこにデータが保存されていても、数秒でビジネス情報を見つけて活用することができます。 Googleのような検索クエリを使用して、すべてのストレージプールですべてのデータセットを検索可能にします。
アプリケーションのオーナーは、このような機会を考慮する必要があります。「あなたのデータは、より検索可能にする方法で記述されていますか?」、「オンプレミスまたはクラウドのツールを使用してメタデータを充実させ、検索に付加価値を追加できますか?」。メタデータを使い収益化する方法を考えてみてください。
ベストプラクティスNo. 6
PoC(概念実証)を実施
すべてのオブジェクトストレージプラットフォームが同じように構築されるのではなく、ニーズが満たされているかどうかを慎重に分析する必要があります。リスクを排除する簡単な方法は、PoC(概念実証)を実施することです。要件を文書化し、ベンダーと共有してください。ニーズとベンダーの説明の両方を検証するために必要なテストを行ってください。多くの場合、これはテストプラットフォームに仮想マシンを使用すれば、迅速かつ無停止で完了することができます。あなたのニーズ、製品、ベンダーの能力について得られる知識は、プロジェクトの成功を保証します。