4月に米国で開催されたNAB Showでは、米国で40年間続く長寿番組「Saturday Night Live(SNL)」のエンジニアから次世代アクティブアーカイブに関する素晴らしい講演をいただきました。テープからCloudianオブジェクトストレージに移行し、そのことがオペレーションに大きな効果をもたらしています。このプロジェクトは注目に値します。それは、オブジェクトストレージならではの特徴が、メディアアーカイブにとって理想的だからです。(このことはStorage Switzelandが、こちらのブログで書いています)

ポスト・プロダクション責任者をSNLで19年間にわたり担当するMatt Yonks氏と対談をしました。Matt氏は、SNLが解決すべき3つの根本的な課題について話してくれました。このいずれもが、メディアアーカイバ―の管理者にとって身近なものです。

  1. 利用環境の拡張性:アーカイブの担当者が長年に亘り悩み続けるのが、充分なストレージ容量の確保です。SNLは、40年以上の歴史とともに、全てがデジタル化されている印象深いアーカイブを所有してます。これは数ペタバイト級のデータですが、全スタジオを悩ませる問題になっています。大半の制作会社は、わずか3時間でTBのストレージ量ともなる4Kで撮影しているのです。
  2. 相互依存連鎖の解決: アセットに確実にアクセスするためには、相互関係のあるデリバリースタックの全パーツが揃うことが必要です。アプリケーションソフトウェア、ドライバー、コンポネント、オペレーティングシステムが、全て一緒に動作しなければなりません。このなかの一部が古くなったり、サポート対象外となると、アクセスに影響を及ぼします。メディアアーカイブにとって長期間に亘る確実なアクセスは大前提であり、このことは進行中のリスクなのです。アクセスを担保するためには、「グラスの底」に特定のシステムを保管しておくことはできますが、このアプローチでは限界があります。
  3. 容易な検索:Mattは、講演のなかで簡潔に「アセットとは見つけられるものだけ」と話しました。メディアを探す仕事は一般的にメディア アセット マネジャー(MAM)ソフトウェアが行いますが、限界もあります。アセットはリージョン間を移動します。MAMは、それ自身が古くなります。20年から40年後でも確実にアセットを見つけられるのは、アーカイブにとっての究極のゴールなのです。

 

オブジェクトストレージは、このようなストレージの種類における独自の要素それぞれに対処します。

拡張性(Scalability):オブジェクトストレージは、規模に制約がありません。 フラットでシェアードナッシングのクラスタ構造のため、ノードを追加するごとに容量が増え、性能が向上します。

オープンアーキテクャ:他の種類のストレージの場合には悩ましい相互依存の連鎖は、オブジェクトストレージでは何ら問題になりません。それは3つの理由からです。ひとつは、オブジェクトストレージはインターネットプロトコルとAPIに対応しているという点です。そのため、特定のドライバーソフトウェアが必要ありません。ふたつめは、オブジェクトは移動可能だからです。 たとえば、CloudianからAmazon S3に移動し、クラウド対応アプリケーションにすぐアクセスできます。3番目は、オブジェクトストレージは、業界標準ハードウェアを使っており、特定ハードウェアへの依存性がありません。

検索用メタデータ:オブジェクトストレージは検索に適しています。それぞれのオブジェクトはコンテンツの内容を説明するメタデータを持っています。メタデータはアプリケーションやユーザーが付与するので、オブジェクトの保管場所とは関係なく、検索が簡単になります。オンプレミスとクラウドのいずれでも、特定のアセットは検索ツールを使えば見つけられます。SNLの場合、長期アクセスを確実にしアーカイブ責任者が常に安心していられるよう、Evolphin MAMがMAM自身のなかにメタデータ一式のコピーと、それぞれのオブジェクトに2つ目のコピーを持っています。

SNLの例は、大規模ストレージが抱える課題を解決するオブジェクトストレージの良さと特長、すなわち、拡張性、メタデータ、オープンアーキテクャについてご紹介する最良の利用事例です。