失われた市場価値は5,000億ドル : ベンチャーキャピタル企業がパブリッククラウドコストの影響を試算
Jon Toor, CMO, Cloudian
クラウドコンピューティングとオンプレミスコンピューティングは、常に共存していくと考えています。 ベンチャーキャピタル企業であるAndreesen Horowitz社は最近、説得力のある記事を発表しました。この記事“The Cost of Cloud, a Trillion Dollar Paradox”は、パブリッククラウドのコストが上場企業の財務に与える影響を調査し、クラウドを大規模に利用している企業の市場価値総額を少なくとも5000億ドルは下げていることを明らかにしました。
主な内容を紹介します。
- 「大規模な運用を行っている場合、クラウドのコストは自社構築のインフラ費用の少なくとも2倍になります。」:著者によると、パブリッククラウドの定価は、自社データセンターを運営する場合の10〜12倍にもなると指摘しています。利用契約やボリュームディスカウントでその差は小さくできますが、それでもクラウドははるかに高価です。
- 「調査対象企業の中には、クラウドの支出額が予定より2倍以上になった報告がありました。」 :クラウド支出の予測は難しく、結果的に支出が計画を上回ることがよくあります。調査によると、実際の支出は予定より20%高くなることが多く、場合によっては2倍以上になることがあります。
- 「データリパトリエーション(パブリッククラウドからのデータ回帰)により、クラウドと同等のワークロードの場合、コストが3分の1から2分の1になります。」:これは、サーバーラック、設置面積、冷却設備、ネットワークやエンジニアのコストなど、すべてのTCOを考慮したものです。
- 「クラウドはある時点からコスト面の“負担”が大きくなります。現在このパラドックスに陥っている数千億もの時価総額がロックされている状態です。クラウドから始めない手はありませんが、クラウドに依存し続ける必要もありません」:パブリッククラウドは初期の段階では効果を発揮しますが、企業が規模を拡張し、成長が落ち着くにつれ、クラウド支出による負担が利用メリットを上回ってしまいます。このような変化は、企業のライフサイクルの後半で発生することが多いため、元に戻すことはとても困難です。
- 「リパトリエーションを事前に検討してみてください。」 :クラウドのコストが収益の伸びに追いつき、それを上回るようになってからでは手遅れです。 早い段階で少しずつ、またはモジュール式のアーキテクチャへ投資をおこなうことで、将来的にワークロードのリパトリエーションに必要な作業を減らすことができます。 さらに、リパトリエーションは段階的に、ハイブリッドで行うことができます。
- 「企業は早い段階で、頻繁に、場合によってはクラウド外でも最適化する必要があります。」:あらゆるビジネスの価値を評価する際、最も重要な要素の1つが売上原価(COGS)です。 つまり、インフラストラクチャの最適化が重要になります。
- 「ワークロードをよりポータブルにするKubernetesなどのソフトウェアのコンテナ化の人気は、企業が特定のクラウドに依存したくないことを意味します。」:予想以上のクラウド料金に直面している開発者は、クラウド利用料をより厳密に管理する必要性を認識しています。
- 「大企業(規模が拡大しているスタートアップ企業を含む)にとって、いわゆるクラウド柔軟税は、多くの場合数千億ドルの株式価値に相当します。」:この「クラウド柔軟税」と呼ばれるコストは、企業がクラウドにコミットしてからずっと後に課されます。 しかし、組織が早い段階からクラウド移行する主な理由である、多額のCAPEX(設備投資)支出の回避は、今はパブリッククラウドだけに限定されません。現在は、OPEXとして完全に構築、導入、管理が可能な代替データセンターがあります。
この記事では、どういった利用がオンプレミス導入に適しているのか、慎重に検討していく必要があることを強調しています。 パブリッククラウドは、柔軟性とスケーラビリティのメリットを提供できますが、コスト面で企業の財務状況に大きな影響を与える可能性があります。
Cloudianは、パブリッククラウドのメリットをデータセンターにもたらすというアイデアに基づいて設立されました。現在、約700社の企業およびサービスプロバイダーが、受賞歴のあるHyperStoreオブジェクトストレージプラットフォームをオンプレミスおよびハイブリッドクラウド環境に導入しています。オンプレミスのオブジェクトストレージは、自社データセンターでパブリッククラウドのようなメリットを、より少ないコストで提供し、パフォーマンス、敏しょう性、セキュリティ、制御の面で優位性を実現します。また、S3との互換性が高いオブジェクトストレージは、ハイブリッドクラウドモデルでパブリッククラウドと簡単に統合することができます。
お客様の組織に最適なクラウドストレージ戦略を見つけるために、Cloudianがどのようにお役に立てるかなど、詳しくはこちらをご参照ください。https://cloudian.com/jp/solutions/cloud-storage/
AWS Outpostsを使用したHyperStoreのオンプレミス導入についてはこちらをご参照ください。
https://cloudian.com/jp/press/cloudian-brings-on-premises-amazon-s3-compatible-object-storage-to-aws-outposts/